model S502 "ether II"
「純アナログ」方式・統合アンプ

 従来モデルの電圧伝送用と電流伝送用を整理統合し、それぞれの長所を生かして再構築することで、「純アナログ」方式にこだわった新しい統合アンプを完成させました。音量調節は分流弁(バルブ)のような働きをする電流分岐方式を採用したため、ボリュームを絞っても音がやせ細りません。信号経路すべてにわたってノイズに埋もれないよう、アンプ部のゲイン配分を注意深く検討しました。試聴を繰り返し、負帰還(Negative Feedback)のかけ方を根本的に見直すことで、際立って芯のある力強さと、繊細な響きを両立させました。カップリングコンデンサをなくしたDCアンプ構成のため、クセがなく中立的で無色透明な音質で、陰影に富んだ音色による音楽表現のディテールを忠実に再現します。

音楽表現を大切にした設計思想

 音楽表現とは何か? ────音楽は芸術です。その響きが美しいか否か、それがすべてです。弊社はいつもこの観点から自問自答し、製品開発に取り組んでいます。CDやレコードに録音された音源の「原音再生」というと、往年の名機を模倣したり、より高度な先進技術によって解決できると考えがちです。しかし、こうしたテクノロジーの過信による幻想から離れ、音楽情報の純度を損なう技術的要素をできるだけ排除し、シンプルで必要十分なしくみの中で取り扱うというアプローチを私たちはしてきました。私たちにとっての「原音」とは、電気的な媒体を介さない自然な響きの生演奏です。この生演奏の響きに近い、自然で澱みの少ない音楽表現を、ストレートに感じていただけると思います。詳しくは、「技術」ページ最下にあるオーディオ研究ノート第13号「基本に戻って考えるオーディオアンプ」をご覧ください。

特徴

スマートな大きさ ― 手元に置いてリアパネルからの配線が楽です。

 電源トランスも内蔵した統合アンプがB5大学ノートの大きさで、置き場所を選びません。手元に置いて、気軽に音楽を楽しめます。リアパネルからの配線の取り回しも邪魔になりません。外付けのBluetoothレシーバーを併用すれば、スマートフォンやタブレット、PCからの音源も簡単に聴けます。

和の風合い ― 美濃和紙による演出。

 簡素で頑強なステンレスシャシーにより、「粋」で飽きのこないデザインに仕上げました。天板の表示パネルで用いられる美濃和紙の色は、ご希望により下記の色見本から選べます。モノトーンなグレースモーク(半透明)のパネルもお選びいただけます。

大きなフロントパネル ― ゆったりと操作できます。

 操作は電源スイッチ,入力切換え、ボリューム、ミュートのみで、面倒な設定は要りません。ボリューム、スイッチ類は、長寿命・高信頼性の日本製を全面的に採用しています。微調整のしやすい、アルミニウム削り出しの高級ツマミを採用しました(在庫状況により、ツマミのデザインが若干異なる場合があります)。

クセのない音質 ― 音楽信号の澱みを生じさせる要素を徹底的に排除。

 信号系統の切換えには、密閉タイプ、長寿命・高信頼性の計測・通信機器用リレー(接点:金・銀)を採用し、音楽信号の劣化が非常に少なくなっています。金属部分の多いコネクターや端子、メッキ加工した導線などを徹底的に排除し、電子機器臭い付帯音がなく、上品でストレスのない自然な奥行きと拡がりを再現します。信号経路からカップリングコンデンサをなくしたDCアンプ構成としたのは、直流を増幅するのが目的でなく、クセがなく中立的で無色透明な音色を表現するためです。

極上の15W ― これ一台で、無用の長物はもう要らない。

 大容量の大型トランジスタは、小型のものに比べると、大味で音の解像度や緻密さに欠ける傾向があります。最新モデルでは、入手可能な半導体の中から「さらによい音」の素子を改めて厳選し、極上の15Wを実現しました。50~100Wも出る大きなパワーアンプにはない音の粒立ち、倍音の豊かな自然な響きで、芯のある芳醇な音質に仕上がりました。一般的なリビングルームで聴くには十分な音量で音楽を楽しめます。一回り大きな電源トランス(50VA)を採用することで、余裕のあるフルボディーの鳴りっぷりです。

洗練された内部構成 ― パワーアンプは全ディスクリート。

 ライン入力は従来の電圧伝送に対応し、その後はすべて音楽信号を電流として扱います。ライン入力直後に電流信号に変換され、パワーアンプを力強く駆動します。音量調節は、信号ラインとグラウンドに分岐させることで、パワーアンプへの電流を調整する「電流分岐方式」を採用したため、どのボリューム位置でも音質が劣化しません。パワーアンプは可能な限りシンプルで増幅段の少ない構成にし、負帰還量と全ゲインを必要最小限に最適化することで、何よりも音楽表現の純度を最優先しました。抑圧感がなく、大らかで伸び伸びとし、足並みの揃った音がすっと出ます。開放的で自然な響きと明快でもたつきを感じさせない俊敏さで、オーディオ装置の存在を忘れさせます。(写真は試作中のパワーアンプ基板です)

スピーカー端子 ― バナナプラグのほか、各種ケーブルも装着可能。

 バナナプラグにも対応したスピーカー端子を標準装備しました。これにより、裸線のからげをはじめ、Y型端子、C型(クワ型)端子、細ピン、バナナプラグなど、さまざまなスピーカーケーブルに対応可能です。

仕様

  • 電源電圧:  AC100V(IEC 3ピンACインレット)~海外仕様は英語ページを参照
  • ライン入力: RCAピンジャック(非平衡10kΩ)、ライン入力 × 3系統
  • 入力切換:  密閉タイプ、長寿命・高信頼性の計測・通信機器用リレー(接点:金・銀)
  • ミュート:  入(消音) / 切(演奏)
  • 音量調節:  ALPS RK27メカニカルボリューム(電流分岐方式)
  • パワーアンプ: 全ディスクリート構成、9石BJTによる「ゲイン最適化」増幅回路
  • 総合利得:  0(無音)~22倍(26.8dB)
  • DC漏れ電圧: ±30 mV以下、ミュート・安定時
  • 周波数特性: DC 〜340 kHz (-3 dB)
  • 最大出力:  2 × 15W(8Ω)、バナナプラグ対応スピーカー端子(適合サイズφ4.0mm)
  • 外形寸法:  W270 × H67 × D163 mm(突起部除く)
  • 重量:    2.54 kg(電源ケーブル除く)
  • 付属品:   電源ケーブル、予備ヒューズ、マニュアル

お客さまが選べる表示パネル

手漉き和紙の色見本

 左から1.ホワイト、2.クリーム、3.プラム、4.スカイブルー、5.パープル、6.オリーブ、7.ベージュとなっています。ご注文の際に、色見本の中からご希望のものをご指定ください。

モノトーン仕上げ

 グレースモーク(半透明)のパネルもお選びいただけます。

希望小売価格

model S502 "ether II"「純アナログ」方式・統合アンプ

140,000円(税別)~日本国内