オリジナルケーブル & アクセサリー

 アナログであれディジタルであれ、ケーブルを換えるだけでも、オーディオ機器本体を交換したのと同じぐらい音質が変わります。ケーブルによってひとたび失われたり色付けされた情報は、そのあとからはいかに優れた装置によっても取り戻すことができません。それほど重要なのがオーディオ伝送ケーブルですから、理想的なケーブルとは何かを検討し、オーディオ信号をいかに傷つけないようにするかを第一に着目しました。例えば、さび止めのメッキをかけた金属は、その地金との間に異なる金属同士の境界ができるため、傾向として音が濁って嫌な付帯音が生じたり、フォーカスが甘くなります。また、細い線材ほど一般に音の輪郭が明瞭になりますが、必要以上に細いと力のない痩せた音になります。このように、すべての要素はトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のこと)の関係にあります。これらの「ちょうどよい」バランスは、試作と試聴を繰り返して決めるほかありませんでした。よいケーブルはまさに、物理的、電気的な裏付けを積み重ねたうえで、実際に音を聴いて確かめることによってのみ生み出されます。こうして誕生したのが、下記の各種オリジナルケーブルです。

model S201 ― スピーカーケーブル

 このオリジナルスピーカーケーブルは、音楽的な響きを色付けなく聴くという、弊社の基本的なポリシーに基づいて開発されました。アンプとスピーカーを結ぶ信号経路であるスピーカーケーブルは、ホット側(往路、プラス)とコールド側(復路、マイナス)の2本の導線からできています。アンプから送り出された音楽信号は、これらの往復する導線を通り、スピーカー負荷を経由してふたたびアンプに戻ってきます。その際、同じ「音量」で同じスピーカーを鳴らせば、ケーブルの太さ、長さ、電気抵抗に関係なく、つねに同じ「電流」が流れるはずです。それではなぜ、ケーブルによって音が変わるのでしょうか。ミニコンポに付属する赤と黒の平行ビニール線では、だめなのでしょうか。その原因は、使われる線材と太さ、ケーブルの形状や構造にあります。
 理想的なスピーカーケーブルを追究していくと、2本の導線の間にはできるだけ分布容量が少なく、かつ距離が均一に保たれる必要があります。ホットとコールドの2本の芯線を平等に同じ条件に保ち2重スパイラル構造にすることで、往復する導線のインダクタンス(コイル成分)が相殺され、アンプのNFB回路にとって有害な、外部からの電磁気的なノイズの影響を受けにくくなります。また、メッキした導体では特定の周波数でピークが出て音楽信号が色付けされ、不自然な付帯音がまとわりつきます。いっぽう撚り線の場合、一聴するとソフトで暖かい音質ですが、和音のハーモニーがにじみ、音の輪郭がぼける傾向があります。さらに、重い外皮を被せると振動が蓄積され、音抜けや立ち上がりを鈍らせます。
 弊社では、ケーブルの形状や構造が音楽信号に与える影響をひとつずつ再吟味し、新しいスピーカーケーブルの設計に取り組みました。その結果、ホット、コールドとも芯線にメッキしていない銅の単線を使用し、絶縁体には空気を多く含む発泡ポリエチレン(EPE)により、軽量で線間容量の小さなスピーカーケーブルが誕生しました。また、2重スパイラル構造を維持しつつ、距離が一定になるように、外皮には極薄の布製ジャケットを被せています。端子にもこだわり、薄くて質量の小さな、メッキしていない真鍮のC型(クワ型)端子、ないしは金属部分が極小で音質的に好ましいバナナプラグを使用しています。こうした独自の構造により、音楽の陰影表現に富んだ、透明感と力強さと自然な響きを併せ持つ、低域から高域までバランスのとれた音質は、お手持ちのスピーカーシステムやアンプの性能を最大限に発揮します。

仕様

使用上のご注意

 スピーカーケーブル端子は、ステレオアンプやスピーカーの極性に合わせて配線し、しっかりと締めつけてください。正しく配線されていない場合、左右で互いに逆位相となり、音像が左右スピーカーの中央付近に定位しませんので、ご注意ください。また、アンプの通電中にスピーカーケーブル端子を誤ってショートすると、アンプの出力に過大な電流が流れ、深刻な故障につながります。絶対に、電源を切った状態で配線してください。その際、スピーカー側から配線すれば、そうした万が一のトラブルを回避できます。

希望小売価格(税別・送料別)

 長さ(両端の端子中心から測って)はお客様の要望にお応えし、1.0m~4.0mの範囲で製作します。ステレオの場合、左右チャンネル用に2本をセットでお求めください。左右チャンネルの識別はとくにありません。ケーブル1本あたりの価格は以下のとおりです。お使いのオーディオシステムに最適な長さで、スピーカーケーブルをお使いになることをお勧めします。
~1.0m 4,000円
~2.0m 5,000円
~3.0m 6,000円
~4.0m 7,000円
クワ型端子φ8mmまたはφ10mm、バナナプラグのいずれかをご指定ください。

model S203 ― RCAピンケーブル(アナログ信号用)

 このオリジナルRCAピンケーブルは、音楽的な響きを色付けなく聴くという、弊社の基本的なポリシーに基づいて開発されました。同軸タイプの2芯シールドとした理由は、シャシーグラウンドにつながるシールドと信号経路としてのコールドを分離し、シールドを送り出し側でのみ終端子(抵抗で熱にする)を介して結線することで、高周波アンテナとしてシールド自体に誘導される外来ノイズの経路を遮断して、受け側の入力機器に影響(混変調歪みなど)を与えないためです。このことはまた、グラウンドループを断ち切るためにも有効です。さらに、バランス伝送と同じ考え方により、2本の芯線をツイストペア構造にして条件に保ち、つねに同じ大きさで互いに逆方向の電流が流れることで、信号経路が外部から受ける影響をキャンセルします。これらの構造により、静電誘導のシールドと、撚り合せによる磁気誘導の相殺という、ケーブルにとって重要な2つの機能を兼ね備えています。
 線材や絶縁体の材質も重要です。ちなみに、芯線として撚り線を使ってみると、音の輪郭がぼけ、和音のハーモニーがにじんでしまうのが確かめられます。一般的な1芯シールドでは、音楽信号が流れるコールド側とシールドを兼ねるため、やはり音の輪郭がぼけます。このような理由で、シールドケーブルを構成する導体は、ホット、コールドとも芯線にメッキしていない銅の単線、シールドに軽量かつ編組タイプのメッキしていない銅を使用しています。また、絶縁体には極薄の難燃ポリエチレンを使用しているため低損失で、まさに空気のごとく色付けが少なく、アコースティックな響きが際立ち、上質のシルクのように滑らかでくっきりした音質が特徴です。外皮には極薄の布製ジャケットを被せ、プラグを除くとわずか20g(標準的な70cm長ケーブルの場合)という驚異的な軽さのため、ケーブル自体に振動が蓄積しにくく、音像がぼけにくいので、音楽がよりクリアで立体的に再現されます。

仕様

使用上のご注意

 RCAピンプラグは、その構造上、ホット側(芯線)が先に接触するため、機器の通電中に抜き差しすると大きな雑音が出て、機器に支障をきたすことがあります。必ず、電源を切った状態でプラグを抜き差ししてください。

希望小売価格(税別・送料別)

 長さ(両端プラグの中心から測って)はお客様の要望にお応えし、0.5m~2.0mの範囲で製作します。ステレオの場合、左右チャンネル用に2本をセットでお求めください。プラグの色帯は白(左)と赤(右)で、左右チャンネルの識別をしています。ケーブル1本あたりの価格は以下のとおりです。
~0.5m 6,000円
~1.0m 7,000円
~1.5m 8,000円
~2.0m 9,000円

model S204 ― ディジタル伝送ケーブル

 このオリジナルディジタル伝送ケーブルは、音楽的な響きを色付けなく聴くという、弊社の基本的なポリシーに基づいて開発されました。ディジタル伝送ケーブルの品質によって、ディジタル機器本来の性能が発揮され、これまでとはひと味違った、目の覚めるような音空間を体験されるでしょう。同軸タイプのシールドケーブルを構成する導体は、芯線にメッキしていない銅の単線、シールドに軽量かつ編組タイプのメッキしていない銅を使用しています。また、絶縁体には空気を多く含む発泡ポリエチレンを使用しているため低損失で、まさに空気のごとく色付けが少なく、自然で暖かみのある音質が特徴です。外皮には極薄の布製ジャケットを被せ、プラグを除くとわずか13g(標準的な70cm長ケーブルの場合)という驚異的な軽さのため、ケーブル自体に振動が蓄積しにくく、音像がぼけにくいので、音楽がよりクリアで立体的に再現されます。特性インピーダンス(75Ω)が管理された、S/PDIFのディジタル信号経路に最適な仕様です。

仕様

BNC 75Ωプラグ対応もあります

使用上のご注意

 RCAピンプラグは、その構造上、ホット側(芯線)が先に接触するため、機器の通電中に抜き差しすると大きな雑音が出て、機器に支障をきたすことがあります。必ず、電源を切った状態でプラグを抜き差ししてください。

希望小売価格(税別・送料別)

 長さ(両端プラグの中心から測って)はお客様の要望にお応えし、0.5m~2.0mの範囲で製作します。
~0.5m 5,000円
~1.0m 6,000円
~1.5m 7,000円
~2.0m 8,000円
BNCプラグ対応は追加500円となります。

model S205u ― USB/アナログ信号変換アダプター


 PCからUSBを経由して送られたディジタル音楽信号を、アナログの電流または電圧モード信号に変換します。この機能はDACそのものですが、電流伝送用に強力なバッファ・アンプを内蔵しています。電源はUSBバスパワーにより供給し、ACアダプターなどの外部電源は不要です。そのため、あえて「変換アダプター」という位置づけで開発しました。私たちスパークラー・オーディオは、この小さなDACでさえ、けっして音質をおろそかにしません。PCにつなげたCD/DVDドライブとこの変換アダプターがあれば、コストパフォーマンスのすぐれた、高音質のCDプレーヤーを構成できます。電流伝送および電圧伝送いずれにも自動的に対応します。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

本体一式(1年間保証付き) 12,000円 (ケーブルは付属しません。)

model S205d ― USB -> S/PDIF(同軸)変換アダプター

 PCからUSBを経由して送られたディジタル音楽信号を、S/PDIF(75Ω同軸ケーブル仕様)に変換します。model S504u for coaxial と併用すれば、USBおよび同軸いずれのディジタル音源にも対応できます。しかもS503と同様に、同一の信号を左右2系統の完全に独立して同軸出力(75Ω、 S/PDIFフォーマット)するよう、2つのピンジャックを設けました。左右のクロストークやグラウンドの干渉を避けるため、出力にはそれぞれ独立したバッファアンプを使用し、さらに別々のパルストランスを採用することでグラウンド側も完全にアイソレート(分離)しています。これにより、左右独立した2つの外部DACを用意すれば、完全なデュアルモノーラル構成も可能です。もちろん、いずれか一方の出力端子(同一信号)だけを使い、単独のDACにつなぐことも可能です。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

本体一式(1年間保証付き) 12,000円 (ケーブルは付属しません。)

model S206i ― 電流伝送用・電流/電圧信号変換アダプター

 ケーブルによる損失や外来ノイズを減らすため、電流伝送用に開発された電流/電圧信号変換アダプターです。電流出力に対応する弊社製品(model S208iなど)と、従来の電圧入力に対応する機器とをつなぐ際に必要なパッシブのアダプター(電源不要)です。アダプターはできるだけ受け側の電圧入力の機器に近いところに設置し、最短距離でつなぐと効果的です。いっぽう、送り出し側の電流出力の機器とアダプターとの間は、電流伝送(インピーダンス0Ω)されるため、ケーブルを長くすることができます。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

本体一式(1年間保証付き) 3,000円 (ケーブルは付属しません。)

model S207 ― フォノ入力専用ケーブル

 弊社でmodel S508フォノイコライザーアンプを開発中に生まれた、ワークベンチで使用しているフォノ入力専用ケーブルです。左右別々のケーブルを使用していると、グラウンド部分に必ずループの面積ができ、それが原因で高周波や電灯線からの誘導ノイズを拾います。そこで左右のケーブルを互いに拠り合わせると、ノイズはほとんどなくなります。それではいっそのこと1本のケーブルにしてシールドするのがよいと考えました。残念ながら、そのようなフォノ専用ケーブルは市場にありませんでした。
 左右ごとに信号ラインのホットとコールドを互いに拠り合わせ、さらに左右の束を拠り合わせ、その上で外部導体(シールド)をかぶせてフレームグラウンドを形成します。このような2重構造のため、音質を悪くする網線には信号が通らず、しかもフォノイコライザーアンプ(シャシーのグラウンド端子)とアナログプレーヤー(トーンアーム金属部)とをつなぐアース線の役割も兼ねます。その成果として、実際にほとんど誘導ノイズを拾わず、レコード再生がほんとうに静かになり、繊細な音楽表現が際立ってきます。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

 長さ(両端プラグの中心から測って)はお客様の要望にお応えし、0.5m~2.0mの範囲で製作します。ステレオ用にこのケーブルが1本あればよく、しかもアース線付きなので、お買い得です。ケーブル1本あたりの価格は以下のとおりです。
~0.5m 6,000円
~1.0m 7,000円
~1.5m 8,000円
~2.0m 9,000円

model S208i ― 電流伝送用・電圧/電流信号変換アダプター

 ケーブルによる損失や外来ノイズを減らすため、電流伝送用に開発された電圧/電流信号変換アダプターです。従来の電圧出力に対応する機器と、電流入力に対応する弊社製品(model S505iなど)とをつなぐ際に必要で、上記のmodel S206iとは逆の働きをします。アダプターはできるだけ送り出し側の電圧出力の機器に近いところに設置し、最短距離でつなぐと効果的です。いっぽう、受け側の電流入力の機器とアダプターとの間は、電流伝送(インピーダンス0Ω)されるため、ケーブルを長くすることができます。
 長い距離のアナログ信号伝送が必要な場合、S206iとS208iの組み合わせは低損失、低雑音の伝送方法を提供します。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

本体一式(1年間保証付き) 15,000円 (ケーブルは付属しません。)

model S209 ― iPad/iPhoneアナログ出力・電流伝送変換アダプター

 iPadなどのタブレット端末や、iPhoneなどのスマートフォンから出力されるアナログ音声を気軽にステレオで聴くための変換アダプターです。グラウンドループを断ち切るための素子、および負荷抵抗を内蔵しているため、イヤフォーン(ヘッドフォン)出力をそのまま電流伝送の信号に変換でき、弊社のステレオアンプに直結できます。また、従来の電圧伝送タイプのオーディオ機器にもそのままつなげることができます。
 市場にあるようでないちょっとした小物ですが、iPad/iPhoneで音楽・映像配信サイトを明瞭な音声で聴くことができる、意外と便利なアダプターです。ぜひ、弊社のRCAピンケーブル(model S203)と併せてご利用ください。音量は、歪が最小になるよう、タブレット側およびアンプ側で調整してください。

仕様

希望小売価格(税別・送料別)

本体一式(1年間保証付き) 3,000円 (RCAピンケーブルは付属しません。)

エージングについて

 これらのオリジナルケーブルは、購入後にある程度の時間をかけてエージングすることにより、次第に本来の性能を発揮することがわかります。その理由はまだはっきりわかりません。おそらく、雪道やオーディオ機器のエージングと同様の「変化」が起こっていると考えられますが、これも推測の域を出ません。最低でも1〜2日間は鳴らしこんで、音質の「変化」を確かめられることをお勧めします。